慶應・三田キャンパスで講義をしてきました

慶應義塾大学文学部に総合教育科目というものがあるのですが、通年でテーマが設定され、それに沿ってオムニバス形式の講義が行われます。
http://web.mita.keio.ac.jp/~tatsumi/sogo/
八代は昨年の「愛とセクシュアリティ」から講義をさせてもらっているのですが、今年のテーマは「死と再生」。これはまさに幹細胞生物学の領域!ということで、文学部の学生さんを前にお話をしてきました。
今回のタイトルは「黄泉の国からの帰り道」。内容は古事記の黄泉比良坂の話から死からの逃避と受容について考察したり、西行法師の撰集抄に出てくる「反魂の術」やフランケンシュタイン博士の「怪物」から生の原理を考えたり、という文献研究的な話と、iPS細胞治療や臓器移植のヒストリカルの紹介と現在の状況、というフィジカルなものをいっしょくたにしたものでした。ずいぶん駆け足になってしまったのですが、文学部の学生さんたちに、普段縁のない領域の話を知ってもらえたらいいなあと思います。

月刊スピリッツ12月号発売

この雑誌不況の折蛮勇としかいいようのない新創刊月刊誌『月刊スピリッツ』。その中に、さらにまたチャレンジャーと思えない、羽生生純さんの『ピペドン』という漫画がありまして。

豊胸大学・幹細胞メカニズム解析研究室、
通称「セル研」のポスドク(博士研究員)である
瞼二重は、iPS細胞という
何にでも分化できる「万能細胞」を研究する
最先端・生命科学者である。

類希なる美貌と才能を兼ね備えているにもかかわらず、
鼻クソ&目ヤニ顔で出勤しては、
草食男子に逆セクハラの嵐…

200Q、かくて登場したこの女は、
人類に希望をもたらすヒロインか、
それとも、地球に滅亡をもたらす怪獣か──。
(月刊スピリッツwebpageより転載)

…えーと。まあそういうマンガなのですが、設定や舞台、セリフなどの考証でお手伝いをしてます。上のほうではなんだかビミョーな紹介をしてますが、面白いんですよこれ。手前味噌ですが、11月号の中ではピペドンが一番面白かったのではないかと…。
というわけで、ここを見かけた方、立ち読みでもいいので(ほんとかよ)ぜひご一読を。

『蛋白質核酸酵素』が1月号で休刊

共立出版という会社から発行されている、生化学・分子生物学の日本語総説誌『蛋白質核酸酵素』(PNE)という雑誌があります。僕らの業界関係者以外にはまったくといっていいほどなじみがなく、冗談としか思えないような雑誌名ですが、1953年に創刊されて、53年目を迎える伝統があります。これが、2010年1月号をもって休刊することになったそうです。
いずこも同じ秋の空、広告料収入の減少が招いた悲劇だそうですが、一般紙に限らず、紙媒体の雑誌というものの利益モデルがもはや成立しなくなったこともあるでしょう。たとえば芥川賞をとった作品が全文掲載されたとしても、その文芸誌はいつもの号よりも微増、という程度しか売れず、作品単体の単行本、しかも文芸誌よりも高い値段がついていてもきちんと売れるそうです。単純に考えたら文芸誌のほうが他の作品も読めてお買い得な気もするんですが、世の中そんなもんではないらしい。
たしかにわれわれも、和文総説を読むかといえば、そんなに読まないんですよね。英語の原著論文をあたるとか、natureとかcellのfamily雑誌にラインナップされるレビュー誌を読んだほうが充実していることが多いし、なによりその文章はpdfで手っ取り早く入手できてしまう。(とはいえこれはお金に恵まれた大学だからこそできることで、地方私立大なんかにいくとその手のサービスに入れるお金がない。こういうところでも研究機関の二極化は透けて見えるのですが)
『科学のアウトリーチ活動』ということから考えれば英文より和文がいいのは当然なのですが、かつて存在したサイアスなどの科学雑誌が根絶やしになって久しい上、PNEなどは内容が高度すぎて、一般市民どころか科学愛好家といわれる人たちでも、呼んでいるうちに頭がスポンジ化すること請け合いです。そう考えると、ノスタルジー以外にこの手の本を残す必然はないように思えてしまうのもまた寂しいところ。PNEのような和文総説誌は易化させることもできず、高度化するにも英文原著・インパクトファクター最優先にさせられてしまった現状の分生・生化界にも救ってもらえず、過去帳入りということになってしまいました・

まあ、まだバイオ系の雑誌はあと2冊残っています(『実験医学』と『細胞工学』)。逆に言えば業界で似たようなコンセプトの本が鼎立できたことが驚異といえるかもしれないし、この2冊がどういう方向を向いていくのかも注目していきたいです。

すゞしろ日記

東大出版会が出している小冊子に『UP』というものがあります。
そこに連載されていた、画家山口晃さんの日記エッセイへなちょこ漫画『すゞしろ日記』(こちらの版元は羽鳥書店さん)がうちに届きました。
定価2500円とお安くはないですが、『UP』に連載されていた分以外のものも掲載されていて魅力たっぷり。
個人的にツボだったのは、『私的ラジオ生活』というやつで、山口さんのご幼少のみぎりのラジオ話。『日ようの午前は「キユーピーバックグラウンドミュージック」。このテーマ曲こそ僕にとっての日ようの朝である。』というコメントに、いままで誰に言っても芳しい反応が返ってこなかった話題だったので大興奮。ちゃっちゃからっちゃちゃらちゃららー ちゃららららん!というアコーディオンだかハモンドオルガンだかのあの曲を聴くと、日曜10時だって気分がしますよねえ…(あとで調べたところによると、その曲はアルフレッドハウゼ楽団演奏のミリタリー・タンゴらしいですが)これに限らず山口さんの話題、ツボだでいかんわ。
(しらべたらこんなのがあったよ… youtubeおそるべし)
基本的には山口さんとその奥様の日常のお話ですが、ほのぼの脱力、へなへな感がたまりません。じつは山口さん、うちの徒歩圏にお住まいらしく、一度でいいから小難しい話抜きでオタク話をしてみたい…。いや、きっと山口さんはオタクじゃないんでしょうけど。

『UP』自体は大学出版会の出す本、というご他聞にもれずアカデミアなかったーーい記事が多かったりするわけですが、安い割に(1部100円)読みごたえ十分で、大学院時代には実験の反応待ちのいい相棒でした。UPももおすすめです。

ハゲとアヒルチャーン

うちの相方(妻)は一昨日くらいから急性腸炎(マンモスゲリピーと読む)。昨日は会社をお休みしていたのですが、一日休んだおかげでだいぶ体調が回復して「映画をみたい」と言い出し、提示してきた選択肢が「アダプテーション」と「シャイニング」。本当に君はヘンタイが好きだな。そんなにシャイニングが見たければこれでも見てろ。
http://www.angryalien.com/0504/shiningbunnies.html
…おお。いつのまにかDVDなんかでていたのですね。ついでにぽちっとな。
結局おつきあいさせられて、シャイニング(うさぎじゃないほう)を最後まで見る羽目になりました。面白いからいいけど、体調悪い人が見るもんでもないよな…。

おうちでできるサーグチキン(インド風ほうれん草チキンカレー)

一人暮らしをはじめたころから、どうやら料理が気分転換のひとつになることに気づいたようで、臆面もなく料理は趣味といっています。
そうはいっても、毎日の生活でそれほど凝ったこともできないわけで、手軽にできるおいしいものを試行錯誤。
ただ、結婚して自宅にフードプロセッサーが導入された結果、野菜をおろしたりみじん切りにしたり、が自由自在になりました。
その結果劇的に美味くなったのがカレー。今回は、そんな中での一品、サーグチキンの作り方。
面倒なスパイス類は使いません。ただ、市販のカレーパウダーがあれば、味の深みがぜんぜん変わります。

  • 用意するもの
    • 鶏モモ肉 好きなだけ (300gくらいを食べやすいサイズに、が正気かと)
    • 市販のカレールー (5〜6皿分、と書いてあるような、普通の固形のやつ)
    • ほうれんそう 一把
    • たまねぎ 1個
    • にんじん 中1本
    • セロリ 1/2本
    • にんにく2かけ
    • しょうが 1かけ
    • 鷹の爪 お好みで
    • ローレルの葉 1枚
  1. モモ肉にコショウ・カレーパウダーをもみこむ。ほうれん草をゆでておく。
  2. しょうが、にんにくをすりおろし、鷹の爪、ローレルの葉などとともに大匙2のオリーブオイルで炒める
  3. 香りがでてきたら、1.のモモ肉を投入、白くなるまで火を通す。
  4. すりおろしたたまねぎ、にんじん、セロリを加え、水分が飛ぶまで炒める。(中火で10分くらい)
  5. 炒め終わったら、ひたひたになるくらい水を加え、ふたをして弱火で1時間くらい煮込む。
  6. 火を消して、荒熱がとれるまでなべを冷ます。急ぎの場合は氷水を張ったボウルなどでなべを冷やしてもいい
  7. なべを冷やす間に、ほうれん草をゆで汁100mlくらいとともにフードプロセッサーにかけてペーストを作る。
  8. 再び加熱し、全体的に熱が通ったらカレールーを投入。
  9. カレールーがとけたら、ほうれん草のペーストをなべに投入、中火でよくかき混ぜてほうれん草をなじませる。
  10. できあがり。

凝ったスパイス類は使っていませんが、それなりに本格的な味に仕上がると思います。ほうれん草ペーストや鷹の爪はお好みに応じて適宜調節してください。

出産・・・祝い?

大学生のころ、よく一緒に遊んだ友人がいるのだけれど、9月の末に赤ちゃんが生まれたという連絡をもらったのです。
それはめでたいと出産祝いを贈ることにしたのだけれど、そのついでで別の友人にも赤ちゃんができて、お祝いをしなければいけなかったことを思い出します。
ついでにあげちゃえー、とばかりに住所と生まれた日を確認しようと携帯メールを探すも、一向に該当するメールが出てこない。
あれえ、おかしいなと数分後。
その友人の第一子は、2008年の9月半ばにご誕生遊ばれていたことが判明。その上1歳のお誕生日すらも過ぎていたことが発覚。

おおう。
おおおう。

昨年の9月半ばといえば、10月31日の博士論文の提出を控えて追加実験をがりがりやって死んでいたころ。
送る送るといいつつ、実験にかまけてすっかり忘却のかなただったのです。ああううごめんよごめんよ。みんなマウスが悪いのです。ウソだけど。

というわけで、一年遅れの出産祝いというより、一歳の誕生日プレゼントとして、自分が小さいころに好きだったレゴブロックを送りました。
そして、今回ばかりはうまれたばっかりのところにも、ちゃんと送っておきました。